IT・エンジニアの仕事データベース
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同じ「システムエンジニア」でも住む県で月給が倍近く違う理由

SE・プログラマ・インフラの仕事内容と給料を公的データで

まず、SEの給料は一つの数字ではない

「システムエンジニアの給料」を調べようとすると壁にぶつかります。賃金の統計は職業名ではなく、もっと大きな**職種区分**でまとめられているからです。

たとえば [システムエンジニア(受託開発)](/job/shisutemuenjinia.html) は「ソフトウェア作成者」、[システムエンジニア(基盤システム)](/job/shisutemuenjinia-kibanshisutemu.html) は「システムコンサルタント・設計者」という別の区分に入ります。同じSEという肩書きでも、統計上は別の箱です。

つまり「都道府県でどれだけ違うか」を見るには、**まずどの箱の話をしているのかを決める**必要があります。

箱によって、地域差の大きさがまるで違う

以下は2023年調査の金額で、単位はすべて**千円**(385.4千円=約38万5千円)です。月額の全国平均と、その区分で最も高い県・最も低い県を並べました。

| 職種区分 | 全国月額(千円) | 最高の県(千円) | 最低の県(千円) | 差 |

|---|---|---|---|---|

| [システムコンサルタント・設計者](/wage/w1101.html) | 477.5 | 秋田県 562.9 | 佐賀県 275.6 | 約2.0倍 |

| [その他の情報処理・通信技術者](/wage/w1109.html) | 371.6 | 兵庫県 443.4 | 沖縄県 236.9 | 約1.9倍 |

| [電気・電子・電気通信技術者](/wage/w1072.html) | 434.5 | 神奈川県 497.5 | 宮崎県 307.5 | 約1.6倍 |

| [ソフトウェア作成者](/wage/w1104.html) | 385.4 | 東京都 404.7 | 宮崎県 282.4 | 約1.4倍 |

一番わかりやすいのは最下段の「ソフトウェア作成者」です。プログラムを書く仕事——[プログラマー](/job/puroguramaa.html)、[システムエンジニア(Webサービス開発)](/job/shisutemuenjinia-websaabisukaihatsu.html)、[ソフトウェア開発(パッケージソフト)](/job/sofutoueakaihatsu.html) などが属します。

この区分の高い県は東京都404.7、大阪府398.8、千葉県397.7。**上位3県が全国平均385.4とほとんど変わりません**。低い側も宮崎県282.4、青森県289.6、島根県292.1で、下限がすっぱりと切れている印象です。

「秋田県が最高」をどう読むか

一方、上流の設計・コンサルティングを担う「システムコンサルタント・設計者」——[ITコンサルタント](/job/itkonsarutanto.html) や [DXプロデューサー](/job/dxpurodeyuusaa.html) が入る区分——では、最高が東京都ではなく秋田県562.9になっています。広島県557.9、奈良県542.7と続き、大都市圏の名前が上位に見当たりません。

これは「秋田はSEの高給地」という話ではなく、**その県にこの区分で働く人が少ないほど、平均値は一部の人の条件に強く引っぱられる**という統計の性質を示しています。人数が少ない区分・少ない県の数字は、大きく振れます。

同じことは「その他の情報処理・通信技術者」でも起きています。この区分の高い県は兵庫県443.4・山梨県438.1で、低い県には広島県276.6が入ります。ところが「システムコンサルタント・設計者」では広島県が557.9で上位。**県ではなく区分によって順位がひっくり返る**わけです。

賞与まで含めると差はもっと動く

年間の賞与も区分ごとに大きく異なります。単位は同じく千円です。

| 職種区分 | 月額(千円) | 年間賞与(千円) |

|---|---|---|

| システムコンサルタント・設計者 | 477.5 | 1119.1 |

| 電気・電子・電気通信技術者 | 434.5 | 1667.6 |

| ソフトウェア作成者 | 385.4 | 951.0 |

| その他の情報処理・通信技術者 | 371.6 | 1123.3 |

「ソフトウェア作成者」は月額が「その他の情報処理・通信技術者」より高いのに、賞与では逆転します。[運用・管理(IT)](/job/unyou-kanri.html) や [データエンジニア](/job/deetaenjinia.html) が入る後者のほうが、年間賞与では上に来ます。月給だけで比べると見落とす部分です。

転職や移住を考えるときの見方

以上をふまえると、地域差の読み方は三点に整理できます。

**第一に、自分がどの区分の仕事をするのかを先に確認する。** 開発の実装中心なのか、設計・上流なのかで、そもそも参照すべき表が変わります。

**第二に、実装寄りの職種は地域差が小さい。** 「ソフトウェア作成者」の上位が全国平均とほぼ同水準ということは、東京に出れば大きく上がる、という構図ではないことを意味します。

**第三に、極端な数字は疑う。** 最高値・最低値だけを見て県を選ぶのは危険です。

注意していただきたいこと

ここに挙げた金額は**2023年調査における職種区分ごとの平均値**であり、個々の求人の提示条件ではありません。同じ県・同じ区分の中にも、平均より高い仕事も低い仕事も存在します。

また、区分は職業名と一対一で対応しません。[プロジェクトマネージャ(IT)](/job/purojiekutomaneeja.html) は [企画事務員](/wage/w1253.html)、[AIエンジニア](/job/aienjinia.html) は [機械技術者](/wage/w1073.html) に分類されています。統計上の箱と、現場の仕事の実感がずれることは珍しくありません。

給料の地域差を調べるときは、金額そのものより「**どの区分の、どれくらいの人数の平均か**」に目を向けてください。数字の振れ幅の理由が、そこにあります。

出典
職業情報提供サイト(job tag)/厚生労働省 職業情報データベース(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 作成) 数値系 Ver 7.00/解説系 Ver 7.01(2026年7月30日取得)
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)「令和2年以降 一般_都道府県別_職種(特掲)DB」を加工して作成
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)