この記事で分かること
- 情報通信業の企業数を、資本金と従業者規模から読む方法
- 転職先を調べるときに、企業数の内訳を単純に足せない理由
- 給与や売上の統計へ調査範囲を広げる際の確認点
情報通信業の転職先を調べるとき、企業数の多さだけでは、働く組織の姿を十分に把握できません。総務省の2018年調査では、インターネット附随サービス業の企業数は2017年度に534社でしたが、この総数には異なる従業者規模や資本金区分の企業が含まれます。そこで注目したいのが、従業者数だけでなく資本金から企業構成を読む視点です。この記事では、2017年度の534社という総数を出発点に、転職者が統計の区分をどのように理解すればよいかを整理します。
2017年度の資本金構成が示す企業の輪郭
総務省の情報通信業基本調査によると、2017年度のインターネット附随サービス業には計534社が含まれていました。同じ2018年調査では、資本金3千万円以上5千万円未満の企業数が2017年度に87社とされています。この87社は、情報通信業全体の企業数でも、すべての資本金区分を合計した数字でもありません。あくまでインターネット附随サービス業のうち、指定された資本金区分に該当する企業の数です。転職先の企業像を考える際は、534社という全体と2017年度の87社という区分値を同じ意味の数字として扱わないことが重要です。
| 統計上の対象 | 時期を伴う数値 | 読み取れる範囲 |
|---|---:|---|
| インターネット附随サービス業の企業全体 | 2017年度・534社 | 調査対象となった企業の総数 |
| 従業者4人以下の企業 | 2017年度・128社 | 従業者規模による企業の内訳 |
| 資本金3千万円以上5千万円未満の企業 | 2017年度・87社 | 資本金区分による企業の内訳 |
この表で重要なのは、2017年度の128社と87社が別々の分類軸から集計されている点です。従業者4人以下という条件は働く人の規模を表し、資本金3千万円以上5千万円未満という条件は企業の資本上の区分を表します。同じ企業が両方の条件に該当する可能性を、提示された集計値だけから除外することはできません。そのため、2017年度の128社と87社を足して企業構成を説明したり、差を取って残りの企業群を定義したりするのは適切ではありません。転職情報として利用するなら、それぞれを独立した観察軸として読む必要があります。
資本金は企業の雇用人数、職務分担、報酬水準を直接示す数値ではありません。2017年度に資本金3千万円以上5千万円未満の企業が87社あったという情報から、その企業群の働き方が共通しているとは判断できません。一方で、どのような資本区分の企業が調査対象に含まれているかを確認する手掛かりにはなります。求人情報と統計を照合するときも、資本金区分を企業規模の代用として扱わず、従業者数や給与などの別資料と分けて確認する姿勢が必要です。こうした読み分けにより、企業数の内訳を実際以上に単純化することを避けられます。
資本金区分と従業者規模の違い
資本金区分と従業者規模は、どちらも企業を分類するために使われますが、示している内容は異なります。資本金区分は資本面の位置を整理する軸であり、従業者規模は組織で働く人の数を整理する軸です。総務省の2018年調査では、2017年度の資本金3千万円以上5千万円未満が87社、従業者4人以下が128社と、それぞれ別の集計として示されています。この違いを理解しないまま数字を並べると、資本金が一定範囲なら従業者数も一定範囲に収まるような印象を与えかねません。資料から確認できるのは各区分の企業数であり、両者の対応関係までは示されていません。
転職者が従業者規模を見る目的は、組織の人数に関する調査対象を把握することにあります。ただし、2017年度の従業者4人以下が128社だったという事実だけでは、担当業務の範囲や意思決定の方法までは分かりません。資本金についても同様で、2017年度の87社という数から個々の企業の安定性や待遇を評価することはできません。統計は候補企業を直接評価する道具ではなく、業界にどのような分類の企業が含まれているかを把握するための基礎資料です。個別企業の情報と業界統計を混ぜず、確認できる範囲を切り分ける必要があります。
調査範囲を広げる場合は、[産業と経営組織別の民営事業所数・売上](https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004028845)によって、企業とは異なる事業所単位の集計を確認できます。[産業と従業者規模別の民営事業所数・従業者数・売上](https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004040089)は、従業者規模と売上を同じ表の分類項目として追うための関連資料です。[法人業種と常用雇用者数別の土地面積](https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003013290)と[法人業種と常用雇用者数別の所有土地](https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003013283)では、企業活動に関する別の側面を確認できます。また、[年齢階級と勤続年数階級別の給与](https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003029950)を参照すれば、企業数ではなく労働者の給与を扱う統計へ調査対象を移せます。これらは集計単位や対象項目が異なるため、2017年度の534社、128社、87社と直接つなげるのではなく、それぞれの表が何を数えているかを先に確認することが大切です。
よくある質問
**情報通信業の企業数はいまも534社ですか。**
534社は、総務省の2018年調査における2017年度時点のインターネット附随サービス業の企業数です。現在の数値ではなく、また情報通信業に含まれるすべての業種を表す数字でもありません。
**87社は中規模企業の数ですか。**
資料が示しているのは、2017年度に資本金3千万円以上5千万円未満だった87社という区分です。この数値だけで企業を特定の規模や働き方に分類することはできません。
**128社と87社は合計できますか。**
合計には適しません。2017年度の128社は従業者4人以下、87社は資本金3千万円以上5千万円未満という異なる条件で集計されており、重なりの有無が提示情報から分からないためです。
**資本金から給与水準を判断できますか。**
2017年度の資本金区分別企業数は給与額を示していません。給与を調べる場合は、厚生労働省の年齢、勤続年数、役職などを軸とした関連統計を別に確認する必要があります。
出典
- 総務省「情報通信業基本調査」2018年調査・2017年度企業数および従業者規模:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003175641
- 総務省「情報通信業基本調査」2018年調査・2017年度資本金区分別企業数:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003175660
- 総務省「産業、経営組織別の民営事業所数及び売上」2024年6月:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004028845
- 総務省「産業、従業者規模別の民営事業所数、従業者数及び売上」2024年6月:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004040089
- 国土交通省「法人業種、常用雇用者数、土地の種類別面積」2003年1月~2003年12月:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003013290
- 国土交通省「法人業種、常用雇用者数、所有土地の有無・土地の種類別法人数」2003年1月~2003年12月:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003013283
- 厚生労働省「年齢階級、勤続年数階級別の給与額」2011年4月1日:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003029950
職業情報提供サイト(job tag)/厚生労働省 職業情報データベース(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 作成) 数値系 Ver 7.00/解説系 Ver 7.01(2026年7月30日取得)
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)「令和2年以降 一般_都道府県別_職種(特掲)DB」を加工して作成
雇用動向調査 職業別 未充足求人数・欠員率(2021年)
雇用動向調査 職業別 入職・離職者構成比(2017年)
雇用動向調査 現職職業×前職職業 別入職者数(2019年)